NISAかつみたてNISAどちらを活用すべきか

最近、友人からNISAかつみたてNISAのどちらを活用するべきか、聞かれたので自分なりにまとめておこうと思う。

金融庁の発表によれば、2019 年3月末時点で約1,282 万口座のNISA口座の開設があり、基本原則一人一口座であることを考えれば、10人に1人が本制度を活用していることになる。
NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査(2019 年3月末時点)(金融庁より)

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20190702/01.pdf

 

そもそも、NISAとは株式のキャピタルゲインインカムゲインに対して、通常は課税対象であるところを非課税とする制度である。つまり、「何かしらの形で利益が出ること」を前提としている制度である。
逆に言えば、利益が出ない場合においてはNISAを恩恵を享受できず、制度の無駄遣いとなってしまう。このことに留意しながら考えてみたい。

 

NISAとつみたてNISAの違いは、大きくは3つだと理解している。

①投資対象

・一般NISA口座   口座開設先の証券会社が取り扱う金融商品全て
・つみたてNISA口座 投資信託ETF(162本)

②投資可能額
・一般NISA口座   年間120万円まで
・つみたてNISA口座 年間40万円まで

③非課税投資期間
・一般NISA口座    基本5年間
・つみたてNISA口座  20年間

ただし、一般NISA口座では「ロールオーバー」といい、5年間の非課税期間が終了した後に翌年の一般NISA非課税投資枠へ移すことで、非課税投資期間を実質合計で10年間に延長することが可能である。

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NISAロールオーバーのイメージ(金融庁より)

 

以上を踏まえて、NISAかつみたてNISAどちらを活用すべきかを考えたいが、結論から言えば、投資を行うタイミングに依存すると考えている。

 

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保有期間別の実質利回りの最高値と最低値

長期投資家においてはもはやバイブルとなっている「株式投資の未来」においては、20年以上の投資では、Indexの配当金再投資を前提とすれば投資期間20年での損失は発生していない。したがって、前提に立ち返ればつみたてNISAの活用が望ましい。

 

また、この記事を書いている2019年8月16日現在においては、やや株価にも高値感が出てきており、逆イールドが世界的に発生するなど景気後退局面であるリセッションの兆候が出てきている。その場合において、今後数年での株価下落が見込まれるため、NISAのロールオーバーを含めた10年の投資期間を経ても株価が回復せず、利益が出ないケースも想定される。
そのため、仮に現在から投資を行うのであればNISAではなくつみたてNISAの活用が、過去の実績ベースでは間違いなく利益が出る投資期間を充分確保でき、適していると言える。

ただ、リセッションが見えている現在積極的に買いポジションを取ることは合理的でなく、そのため株価が底値を迎える今後数年にわたり投資しないのであれば、NISAの活用でも充分であると考える。

 

個人的には私も質問をした友人も20代であり、定職にも就いているためリターンの早急な確保は必要でなく、基本的に性急な投資を求めていない。
したがって数年の株価下落を待ち、NISAの活用を行うことが合理的であると考える。